いつからか、カサブランカが一番好きな花になっていた。
自分が亡くなった時は是非カサブランカを棺の中に入れて欲しいと思うほど。
つぼみが沢山ついていても、その全部が必ず咲いてくれる。
そして部屋中がお甘い香りでいっぱいになる。
だから憧れるのか、とにかく好きで、花屋さんで見かけるとつい買ってしまう。
ず~っと昔、中学生になるころ、自分の心が敏感で傷つきやすいということに気付いて
大人になるための準備と称して、自分のハートを包帯でぐるぐる巻いてしまったことがあった。
それ以降、悲しみをさほど感じない変わりに悦びや、花が綺麗とか、空が素晴らしいとか、そんな当たり前の感情も、ひどく鈍感になっていった気がした。
人って複雑なようで、案外シンプルで、いやなことを感じまいとすると、善きことにも鈍感になってしまうものなんだと、インナーチャイルドを学んでから気付いたのだった。
その事実に気付いたある日、慌ててハートの包帯を外した。
そうしたら、悲しみや悦びがいっぱい押し寄せた。
でも、その時思ったのだった。
悲しみも悦びも感じるために生まれてきたのだから、精一杯感じたいと。
そうしてゆくち、人は深い愛に目覚めてゆくのだと、今なら言える。
愛が深いからこそ、人は傷つき、そこを越えた時、赦しというものがやってくる。
そんな気がしている今日この頃です。
感謝